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木工工作図面集

木の話

木に関する話(コラム)を掲載します。

第1回 2008/12/26
徳島すぎ
地球温暖化と木材1 バイオマス・ニッポン戦略
徳島県農林水産部林業振興課発行「徳島すぎ活用読本」より抜粋
 バイオマスの総合的な利活用(動植物、微生物、有機性廃棄物からエネルギー源や生分解素材、飼肥料等の製品を得ること)に関する戦略で、地球温暖化防止の取り組みとして二酸化炭素の排出源である化石資源由来のエネルギーや製品を、カーボンニュートラルという特性を持つバイオマスで代替することを狙いとしている。
 循環型社会の形成、農林漁業・農山漁村の活性化、競争力ある戦略的産業の育成などの期待が寄せられており、平成22年(2010)までに廃棄物系バイオマス全体の80%、未利用バイオマス全体の25%以上の利用を目指すとしている。加えて、国産バイオ燃料の本格的導入、林地残材などの未利用バイオマスの活用等によるバイオマス利用の加速化等を図ることとしている。
 併せて、平成22年までに、市町村域内において、広く地域の関係者の連携の下、バイオマスの発生から利用までが効率的なプロセスで結ばれた総合的利活用システムが構築し、安定的かつ適正なバイオマス利活用に取り組む地域(=「バイオマスタウン」)を全国で300市町村にすることを目指している。
(平成19年(2007)年3月現在:90市町村)

第2回 2009/03/02
徳島すぎ
地球温暖化と木材2 カーボンニュートラル
徳島県農林水産部林業振興課発行「徳島すぎ活用読本」より抜粋
 樹木が吸収したCO2は、伐採されても木材中に炭素の形で固定される。木材製品1m3に蓄えられる炭素量は約250kgといわれ、木材住宅の年間着工数を50万戸とすると、250万トンの炭素が固定されることになる。この値は人工林成長による炭素固定量の約10%に相当する。木材は最終的に燃やされて二酸化炭素を排出するが、樹木での成長過程では光合成により大気中の二酸化炭素を吸収する。化石燃料とは異なり、収支はプラスマイナスゼロになる。新たに大気中のCO2を増やしたことにならない、いわゆるカーボンニュートラルな特性を持つ。
 さらに、木材製品1m3を製造するのに要するエネルギー消費量は約2000MJ(製材品)~70MJ(繊維板)の範囲にあり、他材料に比べ著しく小さい。このため、木材および木質バイオマスの利用により、地球温暖化防止に貢献できるものである。

第3回 2009/06/01
徳島すぎ
地球温暖化と木材地球温暖化と木材3 カスケード利用
徳島県農林水産部林業振興課発行「徳島すぎ活用読本」より抜粋
 木材には、素材を直接利用した製材品のほか、集成材、単層積層材、合板、パーティクルボード、ファイバーボードなどの製品がある。木材を無駄なく再利用するには、素材形状の大きなものから小さなものへと多段階で使い、最終的に炭や燃料として使うカスケード(段階的)利用が、温室ガス効果削減に有効である。
 また住宅等で長期間CO2をストックさせるための工法開発や部材保存処理技術等により、耐久性を確保するとともに、解体時の再資源化を進めることも重要である。
 建設リサイクル法の特定建設資材廃棄物に位置付けられている建設発生木材の、再生化率は平成14年度で61%にとどまっている。
 この数値は、コンクリート塊の98%、アスファルト・コンクリート塊の99%に比較すると低いものである。木材資源についてリサイクルの一層の推進が求められている。

第4回 2009/09/01
徳島すぎ
五感で感じる木材1 木目の揺らぎ効果
徳島県農林水産部林業振興課発行「徳島すぎ活用読本」より抜粋
徳島すぎの柾目と細胞断面
 木材の表面には小さな凹凸がある。光が散乱し、長い波長は反射、短い波長は吸収する性質をもつ。このため冷たい感じがなくなり暖かいイメージを与えることになる。また、目に有害な紫外線の反射が少なく、目に優しい材料だといわれる。
 写真は徳島すぎの電子顕微鏡写真である。スギの細胞の97%は仮道管の細胞から構成され、製材品の表面は仮道管の微細な凹凸で形成されている。水や養分の通路となる壁孔(ピット)も見える。一つの仮道管の長さは1ミリから長いもので6ミリもあり、直径は10から50マイクロメーターといわれる。
 こうした細胞構造の重なりにより木目が生じるが、その模様は適当にゆらいでおり、自然で心地よい印象を与える。(1/fのゆらぎ)
  注)100マイクロメーターが0.1ミリ

第5回 2009/12/01
徳島すぎ
五感で感じる木材2 スギの細胞
徳島県農林水産部林業振興課発行「徳島すぎ活用読本」より抜粋
徳島すぎの細胞断面
 熱伝導率が大きい材料では人の皮膚から熱が逃げやすくなる。熱が逃げると皮膚の温度が低下するので冷たく感じられる。スギの熱伝導率はコンクリートの1/12、鉄の1/483と小さいことから、触ったとき暖かく感じられる。
 外の温度変化に対する室内の温度変化の比を室温変動比という。木材の室温変動比はコンクリートやグラスウールと比べ、著しく小さいが、これは木材の熱伝導率が小さく体積あたりの熱容量が大きいからである。
 写真は木材の電子顕微鏡写真である。木材は熱伝導率の低い空気を多量に含み、木材を構成する成分自身も熱伝導率が低くなっている。熱伝導率の低さはこのような細胞構造による。特にスギは、木材の中でも熱伝導率が小さく暖かく感じられる。

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